『僕のヒーローアカデミア』の飯田天哉は、完全に闇堕ちしたわけではありません。 兄・飯田天晴を傷つけたステインへの復讐心から、ヒーローとしての使命を見失いかけましたが、緑谷出久や轟焦凍との共闘を通じて自分の過ちに気づきます。
その転機となったのが、アニメ第2期の保須市で描かれるステイン戦です。
※この記事には、アニメ第2期のステイン戦と、その後の飯田の行動に関するネタバレが含まれます。
飯田天哉は闇堕ちした?結論は復讐による一時的な暴走
飯田天哉が「闇堕ちした」と言われる理由は、兄の仇を討つことに執着し、ヒーロー本来の役割である人命救助よりも私情を優先してしまったからです。
ただし、敵(ヴィラン)の仲間になったり、ヒーローを辞めて悪の道へ進んだりした事実はありません。
飯田の変化を整理すると、次のようになります。
ここで重要なのは、飯田が最初から正義を捨てようとしていたわけではないことです。
兄を大切に思う気持ちが強かったからこそ、兄を傷つけた相手を許せなくなりました。
しかし、誰かを守るための正義と、個人的な怒りを晴らすための復讐は同じではありません。
飯田はその違いを見失いかけたのです。
つまり、飯田の闇堕ちと呼ばれる展開は、悪人への変貌ではなく、正義感の強い人物が怒りによって判断を誤る危うさを描いたものと考えられます。
飯田が闇堕ち寸前になった理由は兄インゲニウムへの復讐

飯田が復讐心に囚われた直接の原因は、尊敬する兄・飯田天晴がヒーロー殺しステインに襲撃されたことです。
兄の存在は、飯田がヒーローを志すうえで大きな支えとなっていました。
兄・飯田天晴がステインに襲撃された
飯田天晴は、プロヒーロー「インゲニウム」として活動していた人物です。
天哉にとって兄は、単に強いヒーローというだけでなく、困っている人を助ける姿勢そのものが憧れの対象でした。
ところが、天晴はステインの襲撃によって重傷を負い、ヒーロー活動を続けることが困難になります。
命は助かったものの、以前のようにヒーローとして活躍できなくなったことは、天哉に大きな衝撃を与えました。
飯田にとって、この事件で失われたのは兄の活躍する姿だけではありません。
自分が目指していたヒーローの理想像が、突然傷つけられたことも大きかったのでしょう。
それまで規律や正しい行動を重視していた飯田が、兄の事件を境に感情を抑えられなくなっていきます。
職場体験で保須市を選んだ本当の目的
飯田の復讐心が具体的な行動として表れたのが、雄英高校の職場体験です。
飯田はプロヒーローのマニュアルのもとで活動することになりますが、その目的にはステインを探し出すという私情がありました。
通常、職場体験はプロヒーローの仕事を学び、実際の活動を通じて経験を積む機会です。
しかし、飯田はその機会を兄の仇に近づくために利用してしまいます。
ここに、彼の判断が変化したことが表れています。
普段の飯田なら、学校の規則やヒーローとしての責任を優先したはずです。
それにもかかわらず、復讐のために独断で動こうとした点に、普段の彼との大きな違いがあります。
また、飯田は自分の苦しみを仲間へ十分に打ち明けられませんでした。
兄の事件について心配されても、復讐を考えていることを率直には伝えられなかったのです。
仲間を頼るよりも、自分一人で決着をつけようとしたことが、結果的に危険な状況へつながりました。
ステイン戦で飯田はなぜヒーローの使命を見失ったのか?
ステイン戦で飯田が追い詰められたのは、敵の能力が強力だったからだけではありません。
兄の仇を討つという目的に集中するあまり、目の前で助けを必要としている人を守る判断ができなくなっていたことが大きな問題でした。
保須市でステインと対峙した飯田
保須市でステインを発見した飯田は、兄の仇を討つために戦いを挑みます。
しかし、その場にはステインに襲われたプロヒーロー、ネイティヴもいました。
ヒーローを目指す立場なら、まず負傷者の安全を確保することが重要です。
ところが、飯田はステインへの怒りを優先してしまいます。
この行動は、兄が大切にしていたヒーローとしての姿勢とも食い違うものでした。
さらに、ステインは飯田の復讐心を見抜き、彼の行動を厳しく批判します。
ステイン自身の思想や行動が正当化されるわけではありませんが、飯田が人を救うことよりも敵を倒すことに執着していたのは事実です。
この場面が印象的なのは、普段は規律正しく振る舞う飯田が、自分の感情を制御できなくなっているからです。
ステインの個性「凝血」で動きを封じられる
ステインの個性は「凝血(ぎょうけつ)」です。
相手の血液を舐めることで、その相手の身体を一定時間動けなくする能力を持っています。
飯田はステインとの戦闘でこの個性を受け、自由に動けない状態へ追い込まれます。
自身の個性「エンジン」による高速移動は強力ですが、身体を動かせなくなれば、その長所を生かせません。
また、ステインは戦闘経験が豊富で、接近戦にも優れています。
怒りに任せて正面から挑んだ飯田は、実力差と能力の相性によって窮地に陥りました。
ここで注目したいのは、飯田が兄のために戦っているつもりでも、その行動が兄の理想と一致していなかったことです。
兄を傷つけた敵への怒りが強まるほど、兄から学んできた「人を助けるヒーロー」という原点から遠ざかっていました。
この矛盾こそ、ステイン戦における飯田の葛藤の中心です。
緑谷出久と轟焦凍が飯田を救う

ステインに追い詰められた飯田のもとへ駆けつけたのが、緑谷出久と轟焦凍です。
緑谷は飯田の異変を気にかけ、危険な状況にあることを察して行動します。
さらに轟も合流し、三人でステインに立ち向かう展開となりました。
ここで飯田は、自分の復讐とは直接関係のない仲間たちが、危険を承知で助けに来てくれたことに向き合います。
自分は怒りに囚われていた一方で、緑谷と轟は目の前の仲間を救うために動いていました。
飯田が忘れかけていたヒーローとしての行動を、仲間たちが実践していたのです。
この対比によって、飯田の過ちがより明確になります。
そして飯田自身も、自分の行動を反省し、再び戦いに加わります。
三人の共闘は、単に強敵を倒すための協力ではありません。
一人で復讐を果たそうとしていた飯田が、仲間とともに誰かを守る側へ戻る転機でもありました。
飯田はステイン戦の後どう変わった?闇堕ちからの立ち直り
ステイン戦を経験した飯田は、自分の行動を正当化するのではなく、ヒーローとしての未熟さを受け止めます。
この姿勢が、完全な闇堕ちには至らなかった理由を示しています。
復讐ではなく人を守ることを優先するようになる
飯田の変化を考えるうえで重要なのは、兄への思いを捨てたわけではないことです。
兄を尊敬する気持ちは変わらず、その思いをどのような行動につなげるかが変化しました。
ステイン戦以前の飯田は、兄を傷つけた敵を倒すことが、自分にできる行動だと考えていました。
しかし、仲間に助けられたことで、兄が大切にしていたヒーローとしての在り方を見つめ直します。
誰かを救うことよりも怒りを優先した自分は、憧れていた兄の姿から離れていたのではないか。
そうした反省が、その後の飯田の行動を理解する手掛かりになります。
復讐心を抱いたこと自体よりも、その感情によって誤った選択をしたと認められるかどうかが、彼の成長を分けたといえるでしょう。
左腕の負傷と後遺症が残したもの
ステイン戦では、飯田自身も左腕を負傷しています。
戦闘後には左腕の機能に関わる問題が示され、治療や回復について向き合うことになります。
ただし、後遺症が物語の最後まで完全に治らなかったと、一律に断定するのは適切ではありません。
重要なのは、ステイン戦で受けた傷が、飯田にとって復讐の危険性を思い返すきっかけにもなっていることです。
兄の負傷をきっかけに戦いへ向かった飯田自身も、身体に傷を負いました。
その結果、復讐によって兄の失ったものを取り戻せるわけではないという現実に向き合うことになります。
また、ステイン戦では生徒たちが許可なく個性を使って戦ったことも問題となりました。
結果的に人命を救ったとしても、行動のすべてが無条件に認められるわけではありません。
飯田の成長は、敵に勝利したことだけでなく、自分の行動が持つ責任を受け止める過程にも表れています。
後の飯田に見られる仲間を支える姿勢
ステイン戦後の飯田を考えるうえでは、林間合宿後の爆豪勝己救出をめぐる展開も重要です。
仲間を助けたいという気持ちが強まる一方で、無謀な行動によって新たな危険を生む可能性もありました。
飯田はステイン戦で独断による行動の危険性を経験していたため、仲間が危険な行動へ進もうとすることに強い懸念を示します。
ここには、以前の自分と仲間の姿を重ねているようにも見える部分があります。
もちろん、飯田の判断だけが常に正しいという意味ではありません。
しかし、過去に自分が失敗したからこそ、同じような危険を仲間に経験させたくないという気持ちは読み取れます。
かつては自分の怒りを優先していた飯田が、今度は仲間の安全を考えて行動しようとする。
この違いを見ると、ステイン戦が一時的な事件で終わらず、その後の飯田の価値観にも影響を与えていることがわかります。
飯田の闇堕ちを見返すならアニメ何話?
飯田の復讐心と立ち直りを確認するなら、アニメ第2期の第17話から第19話が特に重要です。
兄の襲撃を受けて飯田が変化していく過程も理解したい場合は、第2期第13話から見返すと流れを追いやすくなります。
飯田が闇堕ちしたと言われる場面だけを確認したいなら、保須市でのステイン戦を中心に見るとよいでしょう。
一方、飯田がなぜ復讐に走ったのかを理解したい場合は、兄の事件が伝えられる場面から追うことをおすすめします。
特に注目したいのは、飯田がステインを前にしたときの行動と、緑谷や轟が駆けつけた後の変化です。
同じ戦いの中でも、飯田が何を優先しているかが変わっていきます。
その違いを意識すると、ステイン戦が単なる強敵との対決ではなく、飯田のヒーロー観を問い直す物語であることが伝わってきます。
まとめ|飯田天哉の闇堕ちは復讐心を乗り越える成長の物語
飯田天哉は兄インゲニウムを傷つけたステインへの復讐心から、ヒーローとしての使命を見失いかけましたが、完全に闇堕ちしたわけではありません。
緑谷出久や轟焦凍との共闘を通じて自分の過ちに気づき、兄が大切にしていた「人を守るヒーロー」という原点を取り戻していきます。
アニメ第2期のステイン戦を見返す際は、復讐を優先する飯田と、仲間を救おうとする緑谷たちの行動の違いに注目すると、彼の成長がより鮮明に見えてきます。



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